第一章 ~猫はそうそう懐かない~

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「……じゃ、そろそろ行くわ。えーと…。ああ、名前無かったんだったな…」 少し失礼な言い方になってしまったか。しかし、猫耳はそれについては気にした様子も無く、 「もう行ってしまうのか…。甘いものの礼がしたかったが…」 「たかが飴だろ。だけど、そうだな…。礼か……」 少し考え、 「そうだな、なら礼代わりに名前をやろう。じゃないと色々不便だろ? 気に入らなかったら使わなくていいしさ」 「名前…。いや、無くても大丈夫だ。生きるのには必要無い」 「うるさい。名前が無いと呼びにくいんだよ。そうだな、なんて名前がいいか……」 猫耳は正直要らなさそうにしているが、押し付けてしまえ。名前というものは大事なものなのさ。誰かに名前を呼んでもらえる幸せを知ってるか? 俺はちょっとなら知っているぜ。 さて、どんな名前にしようか…。まぁ、何となく決まっていたんだが……。
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