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「……あー…。良い天気だ」
ベンチに座り空を見上げると、木々から青々とした葉が多い茂り、葉と空の境界から綺麗な木漏れ日が降り注いでいる。
体をベンチに預け、ポケットから棒つきキャンディを取り出し、包装紙を外す。今日はキャラメル味だ。キャラメルマキアートだ。
それを口に含もうとして、気付く。気配を感じる。
少し神経を尖らせて相手の出方を待つ。なんだろう、これ気配は……。殺気とは違う。と言うより、俺に対してですらないような気がする。これは……、餌を狙う猫のような……。
「ふしゃあああああああああああ!!!」
「っ!?」
背後から、猫の威嚇に似ているような気がする声が聞こえて、反射的にこぶしを背後に振り抜く。
「ヌ゙っ!?」
嫌な感触がこぶしに伝わり、何かが地面に落ちる音が聞こえた。恐る恐るベンチの後ろを覗き込むと。
「……鼻が、痛いぞ」
やけに堅苦しい喋り方をする、猫耳の女が涙目でこちらを睨んでいた。
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