希望なんて無い

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廊下の奥の方で黒い固まりが動いていた。 「おっ!なにあれ!?」 何故かリナは興味深々だ。 いきなり黒い固まりと思ってた不気味な物体は形を変えた。 …まるで「人」のような形。ただ3メートルはあるだろうか、猫背の状態で天井に頭が付いていた。 その「人」こっちに向かって這ってきた、 「逃げよう!リーナー!」 「まって!中に人がいる!」 「え!?」 黒い人の中に人がいる、さっきの悲鳴の正体だろうか。 「でも、逃げなきゃ!」 「大丈夫、私に任せて!」 一体何を任せるんだ。 リナは近くにあったモップを取って構えた、 そういえばリナは剣道部の主将だ。 二年生でありながら何度も全国に行って何度も優勝したらしい。 かなりの腕前だ。 でもいくら何でも勝てる相手じゃなかった。 第一人では無い。 リナと黒い「人」の距離が縮まる、 私は目を伏せた。 「面!小手!胴!」 そして、張り切った声が廊下に響いた。
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