夢なんかじゃない

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「・・・・・・・・・」 言葉が出なかった。 夜でも昼でもない。 曇りでも晴れでもない。 空は血液の様な真っ赤な少し黒ずんだ空だった。 地には枯れた草木と白い骨のようなものが入り組んで、道路、アスファルトなんて見えなかった。 「ガガガガ」 いきなりエスカレーターの扉が閉じ始めた、 「えっ!?ちょっと・・・まって・・・!」 ふいに閉じかけた扉に右手をかけた。 「グチャッ」 いきなり恐ろしい速さで扉が閉まって、私の右手は扉の間に挟まった。 「いや・・・なにこれ・・・・」 痛いとかじゃ表す事が出来ない、 ただ、涙があふれた。 「痛い痛い痛い痛い・・・・」 何度も叫んだ、 叫んでも何も起こるはずが無い。 ・・・私は気づいた。ボタンを押せば扉は開いてくれるはず・・・・ 痛みにこらえながら、体をゆっくり左に傾けてボタンを押した。 「ガリガリ・・・」 扉が開く 「・・・ヒッ!!!!!!」 とびらの向こうに在ったはずの右手は、手首からきれいに引き千切られていた。 血が止まらない、早くなる心拍、体の震えと共に吐き気が襲ってくる。 「…い…いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・・・」 私の悲鳴が赤い空に響いた…―
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