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「シオンもつれない」
その言葉にシオンの中で何かが切れた。
いっそ小気味いいほど、ブチっと。
「おまえ!おまえがここにきてかけた迷惑を考えてみろ!! 知ってるか!? 今ここがなんて呼ばれてるか!?」
「魔の牢獄。それも囚人的な意味で」
その答えは、意外なことにヒースから発せられた。
驚いてシオンが見ると、ヒースはいたずらっぽく目を瞬かせる。
「知ってるさ。オレ、情報屋だし」
「情報屋……?」
「そ。ぶっちゃけオレ、捕まってんじゃなくて、自らここにきたんだよな。こいつに情報届けるために」
今すぐ出ていけ。
思わず言いかけたシオンは、何とかその言葉を飲み込んだ。
「で?」
ヒースは青年に視線をやった。
「お前いつまで捕まってんだ?なんなら別料金で助けてやるぞ?」
そして、いきなりの問題発言。
シオンの眉が、思わずピクリと動いた。
「いやー、は、は、は。なんかかわいいかわいい妹のロベリアが面倒ごとに巻き込まれてるみたいでね。機を見て助けてあげようかなって。まあ、お宿?」
「お嬢か……。たしか最後にあった時、いい情報を……。なんでもない」
青年が眉を跳ね上げる。
「へー……?俺にも言えないこと?」
「いや、結果から言えば『ごめんね。今手元に炎しかないや。塩水がよかった?』ってさ。超笑顔で。意味分かるだろ?」
どんな状況だ……。
「へー。まあ、首はねられなかっただけまだましじゃない?」
青年が考え込むように顎に手をやった。
ヒースは思い出したかのようにくすりと笑う。
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