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どんな『妹』だ。
シオンは以前想像した『妹』の認識を改めざるを得ないらしい。
もちろん、悪い意味で。
「あー。あの時はヤバかった。つかお前、ロベリアのためによく牢屋に入ったな。オレは仕事だけど……。飯、不味いんだろ?」
ヒースが首を傾げると、青年は何故か苦笑いした。
「ロベリアの手作りに比べたら、ね……」
「お嬢に伝えとくわ」
しかし青年は諦めたような笑みを浮かべた。
「いや、本人認めてるから大丈夫だよ」
「……いいのかお嬢」
思わず、といったようにヒースがつぶやき、シオンも同意した。
全くもって『どんな妹』だ。
「……まあだから、百万が一俺が脱獄できなくなったら頼む。それより君はどうするの?」
会話は進む。
「オレはどっか護送されるらしいから、そん時にバックレる」
そして聞き捨てならない言葉に、黙って二人の会話を聞いていたシオンはついに声を荒げた。
「……おいお前ら!脱獄の相談なら俺がいないところでやれっての!」
一瞬の、静寂。
「あー。それもそうだな」
「あらら。うっかり~」
そして二人は同時にシオンに目をやった。
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