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「わー!ばかばかヒース!シオン真面目だから本気にしちゃうだろ!? 本当に調べちゃうじゃん!」
「なんの問題がある?」
「逃げづらく……なる」
シオンの思考をかき乱すように、青年、もといキトンが慌てた声を出す。
というかキトン。
やはり脱獄する気か。
一応ここはパンネーク連合国のウルグ・ベク国内……のシュトローベル側の国境砦である。
まるで左遷先のように扱われているが、それなりに大きくて重要な地である。
故に、警備は厳しい。
ハズだ。
特に、臨戦態勢がとられている今は特に。
「あれ?筈だよな!?」
「ほーら、シオンが混乱してるよ」
思考が口にでていたらしく、キトンが茶々をいれる。
シオンはため息をつくと切り替えるように頭を振った。
こいつらの近くでは集中できない。
シオンはもう一度ため息をつくとふと二人を見比べた。
「スルーしてたけど、お前ら知り合いか?」
「客だからな」
間髪入れずにヒースが答える。
キトンは飲んでいた水を吹き出した。
「冷たっ!もっと深い関係でしょ~」
よっぽどショックだったのか、少し傷ついた顔である。
意外とこのキトンという男、扱いやすいのかもしれない。
まぁ、シオンには一生かかっても無理であろうが。
「腐れ縁だな。腐りきって爛れてるからそろそろ腐り落ちる」
「泣いていい?」
「泣けばいい」
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