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「……心配しなくてもおまえの存在にすげー疑問持ってるから大丈夫だ。で?なんで手紙なんか持ってんだ」
気を取り直して聞き直す。
今度は青年も笑わなかった。
愛しそうに手紙を握る。
「これ?愛する妹からのだよ」
「って、聞いちゃいねぇ。てか、……妹?おまえ妹いんのか」
あっさりと家族の存在をバラしてくれたことを意外に思いつつ聞けば、青年はうっとりと目を細めた。
「いるよ。ロベリアって言って、……もー超かわいいの。あ、いくら君でも妹に手を出したら殺すから」
「なんで話飛ぶんだよ。出さねえよ」
いきなりまじめになった青年は、ビシリと指をシオンに突きつける。
この青年の妹、それを想像するとかなり大変そうなイメージがある。
お相手などこちらから願い下げだ。
しかしなぜか青年はとても同情に満ちた顔をした。
「……一緒にいてくれる女の子とか、いる?」
「うるせーよ。つーかなんでそんなに同情するような目で見てくんだよ。ぶっ殺すぞ」
「まあ力の差から考えて無理だと思うけどね」
それはどういう意味だ。
たしかに、さっき腕を捕まれたときは抵抗できなかったが、それは不意打ちで……。
一応牢屋番しているのだから弱くはない。
色々心の中でいいわけを述べると、なぜか悲しくなってきた。
とても、情けない気がする。
「だーくそっ!死ねばいいのに……」
結局、出てきたのは負け惜しみのような言葉であった。
本当に、情けない。
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