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屋上の眩しさから、一気に目の前が薄暗くなる。
俺は軽い目眩を起こしそうになる。
"カツンっ"
何か金属製のモノを踏んだような音が微かに聞こえた。
俺はゆっくりと視線を足元に落とした。
上履きのすぐそばでキラッと光る長い鎖。
長い鎖の先には、小さな十字架と十字架に寄り添う様に小さな石がくっついている。
「…ネックレス?」
片手で拾い上げると、鎖が"シャラン"と音をたてる。
「………これって、どっちの?」
俺が首を傾げながら考えていると、太一が冷ややかな視線を俺に向けている事に気づく。
「なに…お前、女二人も連れ込んでたの?それで揉めてコレ?」
太一が自分の頬を指差しながら多少軽蔑の眼差しで言う。
「ばーか。違うって。」
俺、そんな器用じゃねーし。
太一の頭を小突きながら、俺はネックレスを制服のポケットに仕舞った。
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