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「おっはよー。頬の腫れは引いた?」
太一がニヤニヤしながら俺の席の前に腰かける。
「お陰様で大丈夫です。」
俺はぶたれた頬をズイッと太一の前に差し出す。
「今日は珍しく早いじゃん。」
「毎日遅刻してるみたいに言うなよ。」
カバンを机のサイドのフックに掛けながら、太一に返事を返していると、パタパタと数人の足音が近づいて来る。
「おはよ、ユウ。今日は早いねぇ。」
「どうしたの?珍しいじゃん。」
………お前ら。
「早く来たら悪いのかよ。」
ブスッとしながら窓の外へ顔を向ける。
雲一つ無い快晴で、何処までも真っ青な青空が広がり、俺の心も洗われそう………
って、あれ?
視線を少し下に下ろすと、清々しい天気とは対象的に、トボトボと下を俯きながら歩く、人影が目に飛び込んでくる。
暫くその人影を目で追う。
「…あれ?………アイツ…。」
人影の主は、昨日初対面の俺に暴言を吐いた影山歩のものだった。
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