キミは誰?

12/20
前へ
/31ページ
次へ
周りの登校する人だかりから少し離れて、道の端を1人離れて歩く。 周りを見ようともせず、話しかけようともせず、ただひたすら斜め前の地面と、にらめっこしながら 歩いていた。 「アイツ、1人が好きなのかな?」 無意識に俺は言葉を発していた。 「えっ?ちょっと、ユウ?話聞いてる?」 「は?」 俺の間の抜けた返事に、クラスの女子数名が、プゥッと頬を膨らます。 「もぅ!今日は絶対に私達とお昼ご飯食べようねって言ったの!この前約束してたのに、美加子達のグループと先に食べちゃったでしょ!」 「あぁ…。分かった、分かった。」 俺は"シッシッ"と犬を追いやる様な手つきで、太一と彼女達を自分のテリトリーから追い出す。 女のあの甲高い声って超苦手。 頭が痛くなる。 俺は頭を押さえつつ、そんな事を考えながら、再び窓の外へ視線を向ける。 影山歩の姿は、もう見えなくなっていた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加