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ーガラッ
思い切り教室のドアを開く音が、クラス全体に響き渡る。
相変わらず、ボーッと外を眺めていた俺も、さすがにドアの方へ目を向ける。
ーげっ……坂下。
って、担任なんだから当たり前か。
デカイ図体に、大きな声。
眼鏡をかけた五十代ぐらいのおっさん。
見た目迫力あるし、先生よりも他にピッタリ合った道があったんじゃねーの?って言いたくなる。
「ほらーっ、席に着けよー。」
坂下が出席簿を、教卓にバンバンと叩きつけながらクラス中を見渡す。
ーと同時に、教科書で顔を隠そうとする、俺とバッチリ目が合った。
「おい、加賀美。隠れようとしても無駄だ。放課後必ず俺の所に来い。」
「へーい。」
俺は開いたままの教科書に、今度こそ顔を埋めた。
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