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目の前いっぱいに並べられた弁当達に、俺と太一は苦戦する。
「オレ、もぅこれ以上ムリ。」
胃を押さえながら、げんなりした表情の太一が、俺に小さな声で耳打ちする。
「食え。でないと殺されるぞ。」
俺も小声で太一に返事を返す。
「…あっ。」
横にいた太一に顔を向けた瞬間、少し向こうの木の陰で、弁当箱に箸を運ぶ1人の人物に目が止まる。
紛れもなく影山歩だ。
今日は、やけに目に止まる。
ってか、今までも視界の中に入ってはいたんだろうが、気にも止めなかったからか?
俺は何故か立ち上がった。
「…?おい、ユウ?」
不思議そうに俺を見上げながら話しかける、太一の言葉にも返事すらせず、俺は影山歩の方へと歩きだす。
「ちょっとユウ?どうしたの?」
後ろから聞こえてくる、太一と女の子達の呼び止める声が交互に聞こえた。
そんなこともお構い無しに、俺は影山歩のすぐ傍まで来ていた。
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