113人が本棚に入れています
本棚に追加
ゆっくりと顔を上げる影山歩と、バチッと目が合う。
大きなこぼれ落ちそうな瞳は、意志の強そうな印象を与えると同時に、何故か淋しそうにも感じた。
スッと通った鼻筋に、程よく赤い唇。
―…なるほどね。これは男が騒ぐのも解るかな。
「…お前、1人で食ってんの?」
「………。」
何も答えずに弁当を食べ出す影山歩。
………何なんだ、コイツは。
「あっちに食べきれない弁当があるんだけど、お前も一緒に食べない?」
俺はしゃがみ込み、太一達の方を指差しながら、更に影山歩に話し掛ける。
「………いらない。」
こちらを全く見ようとせず、ただ黙々と弁当を口に運ぶ彼女に、俺は多少苛立ちを覚える。
俺の存在を拒否するかの様に、ただ食べ続け、そして最後の一口を口に運んだ。
最初のコメントを投稿しよう!