113人が本棚に入れています
本棚に追加
午後の授業も全く耳に入らず終了。
財布と携帯ぐらいしか入っていない、軽い通学カバンを手に取り、太一と教室から一歩出る。
「ユウ!」
少し離れた所で俺を呼ぶ声。声の方へ顔を向けると同時に走り寄ってくる足音。
「朱美。」
隣で太一が、あららと言わんばかりの顔で、顔を手で押さえているのが横目で分かった。
「ユウ、一緒に帰ろう?」
俺と太一の間にむりやり朱美が入り込み、するりと腕を絡ませる。
周りがその光景にザワザワと騒ぎ出す。
ーあいにく今日はイチャつく時間無いんだけど…。
つーか、噂になってんだっけ?オレら。
「ワリィ、今日バイトなんだけど。」
「えぇ?何時に終るの?終わったら遊ぼ?」
俺の腕をギュッと胸におしあてる。
「あーっと……。今日朝が早かったから、早く寝ちゃうかも。」
「それでもイイよ。」
朱美は思いっきり上目遣いで俺の顔を覗き込む。
………俺よりタフなんじゃね?
最初のコメントを投稿しよう!