キミは誰?

18/20
前へ
/31ページ
次へ
午後の授業も全く耳に入らず終了。 財布と携帯ぐらいしか入っていない、軽い通学カバンを手に取り、太一と教室から一歩出る。 「ユウ!」 少し離れた所で俺を呼ぶ声。声の方へ顔を向けると同時に走り寄ってくる足音。 「朱美。」 隣で太一が、あららと言わんばかりの顔で、顔を手で押さえているのが横目で分かった。 「ユウ、一緒に帰ろう?」 俺と太一の間にむりやり朱美が入り込み、するりと腕を絡ませる。 周りがその光景にザワザワと騒ぎ出す。 ーあいにく今日はイチャつく時間無いんだけど…。 つーか、噂になってんだっけ?オレら。 「ワリィ、今日バイトなんだけど。」 「えぇ?何時に終るの?終わったら遊ぼ?」 俺の腕をギュッと胸におしあてる。 「あーっと……。今日朝が早かったから、早く寝ちゃうかも。」 「それでもイイよ。」 朱美は思いっきり上目遣いで俺の顔を覗き込む。 ………俺よりタフなんじゃね?
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加