26265人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、家族として最後に伝えたかったことを、一気に話し終えた。
私は、ずっとしがみついていた
あの家族から巣立つ
今がその時だ
ありがとう…
そして、さよなら…私の家族
私ももう、あなた達に囚われない
だから、あなた達も私に囚われないで
どうか私の呪縛から解き放たれて
そして、あなた達も扉を開けて
どうか自分だけのかけがえのない幸せを見つけ出して
そして、解けない縺れた糸をあなた達も断ち切って
どうか…どうか…
私という存在が消えた家族に、温かい息吹が吹き込まれますように
私は願いを込めて、右手にぐっと力を入れた。すると、将さんの左手がギュッと握り返してきた。
将さんが結ちゃんまで呼んだのは、このためだったのかな?
悪魔のオオカミは、またも魔力を使って、がんじがらめになっていた私達兄妹の心の声をさらけ出させたのだ。
悪魔のオオカミには敵わないなぁ
そんなことを思いながら、将さんを見上げると、繋いでいない手で、私の頭をわしゃわしゃされた。
・
最初のコメントを投稿しよう!