始まりの刻2

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  私がやれやれと腰を上げ制服のスカートを叩いて立ち上がれば、周りは奇妙なモノを見るような目で私に視線を向ける。 「か、変わった……衣であるな」 「……え?」 「しかし、ふむ、綺麗な足だ」 「!?」 目の前の『カッちゃん』というらしい男がポツリと言った呟きにハッとして、私は周りの視線が足に注がれていることに気が付いた。 ……うわ。 な、何だか照れ臭いんだけど! 綺麗だなんて初めて言われた…。 心なしか、ポンと顔が赤くなる。 「あ、もしかしたら……」 「?」 そしてその人は急にその優しそうな表情を歪めた。 「お腹、空いているのではないのか?それで、倒れたのでは…」 「え」 あの、違いますけど。 「記憶が無いらしいぜ」 暴走一歩手前な彼に男が言うと、目をかっぴらいで再度私を食い入るように見つめだす。 「な、なんてことだ!女一人でさぞかし苦しかっただろう!寂しかったであろう!」 「い、いや、その…」 「家にも帰れず途方に暮れていたのではないか!?それなら、ここに記憶が戻るまで住むと良い!」 「へ?」 「なっ!」 「ちょっ!近藤さん!?こんな泥棒みたいな子置くんですか!?」 「……」 住んで良い、と? 私まで信じられない発言に驚いた。 この人は、知らない人をあっさり泊めてしまうほど心が広いのだろうか? でも…… 「か、考えておきます」 素直に受け入れられない自分がいた。
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