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「はぁ」
無理矢理振り切って数分後。
路頭に迷う今の私。
私は、素直に甘えなかった。
いや、甘えられなかった。
だって…知らない人だし。
それに、ここが現実かどうなのかもイマイチ理解し難いし。
もしかしたら、ここは、本当は死後の世界なのかもしれないって可能性も無きにしも非ず。
とは言っても今の時点で、行く宛がなく、困っているのも事実。
はぁ、とまた大きな溜め息をついて前を見れば、私は細目を大きく見開いた。
「……何これ?」
目の前に映る光景に、思わず眉間に皺を寄せる。
時代劇の如く、周りの人達は平然と着物を施していたからだ。
とてつもなく様になっているが、なりすぎてまた違和感を感じる。
それに加えて、何故か周りの自分に向けられてる視線が鋭く痛い。
まるで、奇妙なモノを見るように。
色んな人と視線が交わる度に「ひっ」と小さく悲鳴をされ、避けられてしまう不可思議な現象。
だから、ここがどういうところなのか、どう帰れば良いのかも、聞くに聞けなかった。
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