2020.5.4『火炎』

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「まさしく、馬鹿だな」 面白い暇つぶしを見つけたかのような物珍しい眼をするサタン。 そこには殺意も攻撃の意思も見受けられはしない。 「馬鹿で結構……」 グググ、と腕に力を込めて立ち上がる。 たった数日?それとも数時間、数分、数秒……。 今の自分がどれだけの未来を守れるかは分からない。 けれど……。 「瞬き一つで、世界は変わるんだよ」 俺はその先にある未来の可能性を知っている。 それを願って死んでいった騎士を知っているから。 「やっと本物の火が点いたぜ」 最高位とされる七つの帝位の中、受け継いだ称号の名は『炎帝 』 例え小さな火種だとしても、燻らせるわけにはいかない。 「だまだ足りねえけどよ」 お前を倒すには。 「でも安心しろ」 ――――俺の心にある怒りの火は、まだ点いたばかりだ。 火は燃え盛り、やがて姿を変える。 すべての物体を飲み込む、”火炎”へと。  
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