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風呂を上がり、ある程度の学校の支度を終える頃には、時刻は七時を過ぎていた。
TVをつけても、朝から忙しい大人たちの近況報告番組ぐらいしかやっていない。
ニュース自体は嫌いじゃないが、朝からはきはきと喋るアナウンサー達の声は好きじゃない。
「欠伸の一つでもしてくれれば、もうすこし親近感が湧くのにな」
少しの間TVをながめていると、トースターが仕事を終えたらしく、ヒステリック気味なベルでお知らせしてくれた。
朝飯は基本自分で作る。
まぁ、大抵トーストとお茶ですませてしまうのだが。
親がいないとか、天涯孤独の身だ、とかじゃない
両親は俺の為に朝まで働いている。
だから、学校を出る時はいつも一人だ。
夜は会えるんだし、叩き起こされたりしない分、優雅な朝を迎えたい俺にとっては、なに不自由はない。
こんがり焼けた小麦粉板を噛み砕き、お茶で流し込む。
鞄を背負って、玄関から外へ一歩踏み出すと、恥ずかしがり屋の太陽が、顔を真っ赤にして、外の世界を照らし出していた。
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