52人が本棚に入れています
本棚に追加
五月二十一日(土)、午後一時三十分。
家の近くのバス停からバスに乗って十分ほどの場所にある、駅前の喫茶店。
喫茶店の窓から外を眺めると、スーツで身を包む会社員の男性や、目が痛くなるほどの髪色をしている少年。そこには、多種多様な人間が行きかっていた。
昨晩、三次さんが亡くなったニュースを観たあと、俺は自分の身に起きている事を真黒黒助さんと、トイレの花男さんに説明した。
メールのこと、花宮京子のこと、全てを話し終えると、二人ともしばらく話し合ったあとに、一度会って話をしよう、ということになった。
「高校生にお金払わせる訳にはいかないでしょ」
真黒黒助さんの慈悲の御心で、二人がこちらに来てくれることになった。
集合時間は、指定された喫茶店に午後二時とのことだったが、オフ会なんて初めてだったからだろうか、まさか三十分前行動をしてしまうとは……
と、言うわけで。俺は今、駅前の喫茶店にいるわけだが……
飲み慣れていないコーヒーはまだ熱く、すすんで飲む気にはなれない。
『くそう、喫茶店なんて来たことないから、何を頼めば良いのか分からん!』
注文を待つ店員と、後ろに並ぶお客さんからのプレッシャーに急かされて、ついホットを買ってしまった。
さっきから俺はずっと、セルフサービスの水ばかり飲んでいる。
こんなことなら、ファーストフード店集合にしてもらえばよかった……
時刻は午後一時五十五分。
そろそろ二人とも来る頃だろうか。
最初のコメントを投稿しよう!