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普通の街の普通の一軒家。
お世辞にも広いとは言えない部屋、青いシーツで一丁前にお洒落を決め込んでいるシングルベット。
部屋の本棚に漫画や映画など、趣味で集めているホラーグッズが並べられていた。
複雑にリズムをとるキーボードは、俺にとっては打楽器の一つで、エンターキーを打つ瞬間がたまらない。
テーブルの横には、別にするわけでもない高校の教材が積み上げられていた。
勉強は苦手だ。
高校受験のために使われていた参考書などは、受験が終わったと同時にゴミ捨て場に置いて来た。
「受験戦争を共にした同志と言えど、今日の味方は明日の敵とでもいおうか」
と、独り言をつぶやいてみる。
……いや、要するに勉強が嫌いなだけだ。
中学生という幼かった自分も、その日ゴミ捨て場に置いて来た。
高校生に生まれ変わって一ヵ月、髪をギラギラの金色に染めた男を中心としたグループに入れた訳だし。どうやら一人で過ごすことはなくなったようだ。うん、順当順調。
今日も遊びほうけて、カラオケ、ボーリング、焼肉と高校生らしい学校生活を送っている。
午前十二時三十分。
イマイチ慣れていない一日で疲れたわけだが、俺には一日を締めくくる日課があった。
それがホラーサイト『都市伝説 百戦!』のチャット会だ。
このサイトには、トイレの花子さん等の都市伝説から、友達の友達から......というお約束の眉唾都市伝説が多数掲載されている。
小さい頃から都市伝説などホラー作品が好きだった訳で、高校に入る前にこのサイトに行き着いたのは運命だと思っている。
このサイトに出会って以来、俺は毎晩このサイトにアクセスするようになった。
アクセス数はそんなに多い訳ではないが、深夜にもなればこのサイトに設置されている『都市伝説チャット』をする分には程よい人数の、いわゆる”常連”がログインする。
今日は俺を含めて四人いる。
皆、このサイトの新参であった俺に優しく接してくれた常連達だった。
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