落とされ-零-

5/7
前へ
/73ページ
次へ
 よくある都市伝説だろうなと、俺は溜息まじりに呟いた。  最近は都市伝説好きの自作都市伝説が、フラフラとインターネットを一人歩きすることがよくある。  噂なんて物はもともとそんなものであるし、都市伝説なんかは噂話の集合体だ。  しかし、故意的に恐怖を狙って作られた都市伝説のほとんどが、作者の自己満足とエゴで出来ている。 見るに耐えない作品も星の数程あるわけで。 大抵は、そんな準都市伝説たちは鼻で笑われて、大量の情報に押しつぶされてインターネット界の闇に消えて行く。  時折、異彩を放つ都市伝説が佳作都市伝説としてもてはやされるが、定番になるには難しい。  喰蝕語も、自殺した少女の呪いと言うありきたりの話であるし、どうせ闇に消えてゆくのだろう。  ある意味、トイレの花子さんが流行した都市伝説繁栄の時代であれば勢いで定番化しただろうが…… いや、花子さん時代にコンピューターの話など、最早SFだろうな。 かのスピルバーグもビックリだ! もしかしたらハリウッドで映画化もありうる。 ……んな訳ないか  要するに、今の時代は悲しいことに、新たな都市伝説を生み出すには難しい時代だってことだ。 口裂け女の様な社会現象など起こることは、まず無いだろう。  都市伝説たちの就職氷河期だ、と心の中で呟き鼻であしらう。 どうせ、不採用ですよ。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加