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和葉は、不安げに言ってくる。
そんな和葉に俺は言った。
「だからって、お前なぁ」
和葉は俺を見上げて、頬を膨らめた。
「いいじゃん!」
和葉は下を見ながら涙をかくすように続けて言った。
「私は…彼女…なんだよね?それとも…私の勘違いなの?慶ちゃんは何も言ってくれないし…私…分かんないよ…」
俺は、何も言わずに和葉を抱き寄せた。そして和葉の唇にキスをした。長く深いキスをした。
そして和葉は頬を赤くして聞いてきた。
「私のこと好き?」
俺は、もう一度和葉を抱き締めた。
そして、和葉の耳元に囁いた。
「好きだよ…」
和葉は、俺の背中に手を回し、俺の胸に顔をくっつけてくる。
「温かい…」
和葉は言った。
その後、和葉にすべてを打ち明けた。
和葉は、いつものふざけた顔は見せずに真剣に聞いてくれた。
そして、二人で尾井竹村を探すことにした。
図書館に戻り、地図や植物の生殖地、日本の山などを次から次へと読み回した。
和葉は、頭が悪そうに見えるが、意外に良いのだ。
俺に、勝とも劣らずと言った具合に。
そして、日が沈み外が暗闇に包まれた頃
ようやく尾井竹村である可能性が高い場所を3つに絞れた。
一つ目は、岩手県にある岩手山と八幡平に囲まれた盆地
二つ目は、山形県にある月山と葉山、湯殿山に囲まれた盆地
三つ目は、群馬県と福島県の県境に位置する燧ヶ岳と景鶴山、至仏山、駒ヶ岳に囲まれた盆地
俺と和葉で、この三つの場所にそれぞれ行ってみることにした。
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