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そこには
ルール違反なのは
百も承知だが
どうしても一言だけ
詫びが言いたかったと書いてあった。
乱ちゃんの意向のお陰で
温情ある解決になった感謝も。
それから今後は
僕達夫婦の幸せを
影ながら祈っているとも書いてあった。
僕「気味が悪い。」
乱「どうして?」
僕「裏があるに決まってる。」
乱「疑ってたらキリがないわ。」
乱ちゃんが疑わないから
僕がその分まで
用心深くなるんです。
今までされた事を思い返せば
疑うのは当然だと思う。
乱「アタシ、電話したの。」
僕「は?何で?」
乱「手紙のお礼よ。住所書いてなかったから。」
僕「それで?」
乱「カリカリしないで。まんすけ、殴られそうになった彼女、助けてあげたんですってね。いつの間にか自分の手が届かない程、大きい人間になってたって。」
僕「あ、あれはさ。放っておこうと思ったんだけど、何故か乱ちゃんの顔が浮かんできて、乱ちゃんなら間違いなく助けるだろうなって思ったら、僕の口が勝手に動いただけなんだよ。」
乱「それでもその話を聞いて、アタシとっても嬉しかったの。まんすけってやっぱりいい男だなあってね。」
僕「へへ、そうかなあ?」
乱「うん。とってもいい男。」
手紙を寄越した
元妻への苛立ちが
嘘のように、消えた。
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