嵐 Ⅱ

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そこには ルール違反なのは 百も承知だが どうしても一言だけ 詫びが言いたかったと書いてあった。 乱ちゃんの意向のお陰で 温情ある解決になった感謝も。 それから今後は 僕達夫婦の幸せを 影ながら祈っているとも書いてあった。 僕「気味が悪い。」 乱「どうして?」 僕「裏があるに決まってる。」 乱「疑ってたらキリがないわ。」 乱ちゃんが疑わないから 僕がその分まで 用心深くなるんです。 今までされた事を思い返せば 疑うのは当然だと思う。 乱「アタシ、電話したの。」 僕「は?何で?」 乱「手紙のお礼よ。住所書いてなかったから。」 僕「それで?」 乱「カリカリしないで。まんすけ、殴られそうになった彼女、助けてあげたんですってね。いつの間にか自分の手が届かない程、大きい人間になってたって。」 僕「あ、あれはさ。放っておこうと思ったんだけど、何故か乱ちゃんの顔が浮かんできて、乱ちゃんなら間違いなく助けるだろうなって思ったら、僕の口が勝手に動いただけなんだよ。」 乱「それでもその話を聞いて、アタシとっても嬉しかったの。まんすけってやっぱりいい男だなあってね。」 僕「へへ、そうかなあ?」 乱「うん。とってもいい男。」 手紙を寄越した 元妻への苛立ちが 嘘のように、消えた。
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