1 はじまる

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監禁。そんなバイト募集が住宅街の電柱にいたるところに貼られていたら誰だって、なんのイタズラなのだろうと思ってしまうだろう。 電話番号に正確な住所と地図。それから、担当者の名前。 子供のイタズラか、ただの気まぐれの遊びなのか。そもそも、監禁のバイトとはなんなのだろうと、少しばかり興味を抱いた。 監禁。ただ閉じ込めておくだけの、バイトなのだろうか。引きこもりなら歓迎だろう。迷わず行く・・・なんて限らない。ただ、これは怪しすぎる。 寒い夜に思わず目に留まってしまったチラシを私は凝視していた。 街灯に照らされ、一人チラシとにらみ合いをしていた。 相坂里佳子。年齢26歳。引きこもりはないが、先月バイトが首になってニート生活にうんざりしている反面、好きなことを自由に過ごすことの楽しみを覚えてしまったダメ人間の一人。 どうしてバイトが首になってしまったかなんて聞かないでくれ。
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