序章

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. 「ったく、あいつら高校生にもなって…………」 人気のない館内を歩きながら、桐原都はいらいらした様子でつぶやいた。 なぜなら、 いつもの通学路にあるこの美術館。古い洋館をそっくりそのまま美術館として利用していたため、地元のほとんどが空き家と思い込み、3人も例外なく美術館だとは知らなかった。 ところが中に入ってびっくり。少なくはない美術品にはしゃぎまくった3人は、 ……うっかり、はぐれてしまっていた。 高校生にもなって迷子。恥ずかし過ぎる。 というわけで係員にもつげられず、都は一人、広い館内でほかの2人を探していた。 「……っなんっでこんなに広いわけ!? たかが美術館のくせにっ」 城のような広さと内装にはしゃぎまくってはぐれたヤツの言葉がコレ。(実際には城というほど広くない) 実はこの建物、文明開花の頃に華族の住まいとして移築されたもので、ぶっちゃけかなり無駄にひろかった。 城というほどではないけれど。 *ちなみに携帯は圏外です。 .
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