祖父が死ぬらしい

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やがて父親は、まるで棒読みに、早口に、言った。 「じいさんを見舞ってやってくれないか。。今度はちょっと、ダメかも分からん」 ダメって? と僕は聞こうとして、やめた。 聞くまでもない事だったし、あらためて聞きたくもなかった。 父親がじいさんと呼んだのは、父方の祖父の事だ。 酒飲みで、口の悪い、まるでヤクザのような僕のおじいちゃん。 過度のアルコール摂取のせいで肝臓を壊し、数年前から入退院を繰り返していたおじいちゃん。 そんな祖父が今、「ダメかも分からん」状況にあるらしい。
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