祖父が死ぬらしい

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父親との電話が終わり、僕は暗い部屋の中で携帯電話を握ったまま、もう少し眠ろうと目を閉じた。 そして数時間後、再び目を覚ました先ほどの僕はなぜか唐突に、悪戯に、「禁煙の誓い」を立てたのだった。 理由は分からない。 父親からの電話が、そして祖父の病状が、僕自身に何か影響を与えているのだとしても、なぜそれが禁煙に結びつくのか分からない。 そして僕はその理由を探ろうとも思わなかった。全く。 僕はただただ思いつき、誓いを立てたのだ。禁煙の。 僕はベッドからのそのそと這い出て、テーブルの上のタバコの箱をゴミ箱にそっと落とした。 そしてその二秒後に、その誓いを破ろうと決めたのだ。
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