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三時間ほど電車に乗り、夕方の五時過ぎに地元に着いた。
半年振りに降り立ったその街の空気は、温かった。
季節は秋。
まだ明るさを残している空には漂白された糞のような雲が浮かんでいて、ひどく暢気な様子で移動していた。
あまりにも移動速度が遅いせいで、じっと見つめていると時間の感覚がおかしくなるような気がする。
どこからか下手糞なギターの音が聞こえる。
リズムの合っていないアルペジオ。
最低だ。
僕はタバコを咥え、火をつける。
こんな音を聞かされると、実家を出て以来はじめて帰ってきた地元を、僕は憎まなくてはならないのだと思えてくる。
いや、実際はそうに違いない。
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