3人が本棚に入れています
本棚に追加
仕事もせず、新しい土地でただ一人、安い酒と安い文学にまみれているだけの生活に価値などない、お前はそんな現在にどうにかして意味を持たせるために、過去を激しく憎む必要があるのだ。
そう呟いているのは他でもない僕である。
当然だ。
誰かの呟きが脳内に直接聞こえてくるほど僕はアルコールやその他の刺激物に中毒していない。
その呟きはただ、あらためて否定されるためだけに僕がわざわざ用意したスケープゴートなのだ。
だから僕はちゃんと付け加える事にした。
「あの街じゃ誰も僕の事を知らない。それがこの街にはなかった価値だよ」
最初のコメントを投稿しよう!