半年ぶりの地元

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僕は彼に近づいた。 彼から一メートルも離れていない場所に二人の女が座っているのが見えた。 一人は汚れたピンク色のスウェットの上下という最低な格好をした太った女で、もう一人は制服を着た化粧の濃い女子高生だ。 二人は、様々な汚れの張り付いた地面に直接座り込んで男の歌を熱心に聞いている。 笑顔で。 ストリートミュージシャンは時々迷惑そうな視線を二人に投げるが、女達はそれに気付かないのか気付いているが気にしていないのか、もしくはそういうプレイなのかは知らないが笑顔を崩す事がない。 僕は何だか寂しくなった。 彼女達を憎むことなど到底できないような気がして、僕はその場を離れた。
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