郊外の病院

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僕はしばらくガードマンの皺だらけの顔を眺めていたが、やがて無言で会釈して、エレベーターの方に歩いた。 廊下は人がほとんどおらず、不自然なほどに静まり返っていた。 床は深い緑色のリノリウム張りで、靴を履いているのにその冷たさがソール越しに感じられる。 電球の切れかけた自動販売機の脇を通り抜けた時、自分が泣きそうになっている事に気付いて軽いパニックに陥った。
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