郊外の病院

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祖父のいる病室は7階にあった。 エレベーターを出てすぐ正面にあったナースステーションには五人ほどの看護婦がいて、休憩時間なのか、中央のテーブルでお茶を飲んでいた。 エレベーターの扉が閉じる鈍い金属音にも彼女達は反応せず、田舎の病院にはひどく似つかわしい花柄の湯飲みを口に運び、時々大きな声で笑う。 至る所から薬剤と食べ物と排泄物の混じった不穏な匂いが僕を襲ってくる。
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