郊外の病院

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こんな空気の中でお茶を飲んで笑い合える看護婦という生き物が異常な存在に思えた。 彼女達を嫌悪しなくては自分もいつかああなってしまうのではないかという恐怖を感じた。 廊下を進み、室外のネームプレートを確認して病室に入ると、排泄物の香りだけが一層強くなった。 思わず鼻と口を覆ってしまうほどの臭気だ。 その空気は確実に僕を萎縮させた。萎縮した僕は嫌悪感を探す。 さっき看護婦にそうしたように。 嫌悪は行動のモチベーションを与えてくれる。 僕はその臭気を憎んだ。 憎むことでその存在を認め、僕は自分の存在を確認するのだ。
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