郊外の病院

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どこからか、うおっうおっ、という奇妙な声が聞こえてきた。 入り口を入って左手前の空間は、汚れたピンク色のカーテンで目隠しがしてあった。 アシカのような鳴き声はその内側から聞こえてくる。 注意して聞くと、鳴き声の間にブブブブブブブという小さな機械音も聞こえる。 このカーテンの中で一体何が行われているのだろうか。 うおっうおっ、という声は悲鳴のようにも笑い声のようにも聞こえる。 僕はポケットの中のワンカップを思わず握り締めた。 力を入れてふんばっていなくては何かを奪われてしまいそうな、強烈な声だった。
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