プロローグ

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20××年 夏休み終盤の8月 ミーンミーンミーン… 夕日に照らされた5人の小さな影が仲良く同じ方向に歩いてゆく。 全員虫捕りあみと空っぽの虫かごを身につけてソーダアイスを口に入れている。 「あっぢー…」 そう声に出すと、先頭で歩く瑛人(あきと)は額の上で光る汗を拭った。 瑛人たちは今日、昼間から近くの森で門限ギリギリまで粘って他の4人と一緒にカブト・クワガタ探しをしたがけっきょく見つからず、泣く泣く帰宅中なのだ。 次に瑛人のものではない声が聴こえた。 「やっぱ田舎じゃねーとカブトもクワガタもいねーんだよ…。」 クラスで一番体の小さい大雅(たいが)だ。 大好きなクワガタを一匹も捕まえられない…それどころか一目見ることも出来なかったことで、ひどく落胆している。
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