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しばらくたってもその噂は続いた。ずっと続けばいいのにな、なんて内心思ってたあたしはホント最悪な奴で。
当然、りっちゃんから呼び出される。噂が広まって数日たった頃。
「もえの...」
哀しそうな顔でこっちを向くりっちゃん。言いたいことは分かる。分かるよ。
りっちゃんは、少しずつあたしに近付く。誰もいない教室に、少し開いた窓から暖かな風が吹き込んだ。何だか夏の匂いがとても切ないです。
「本当はさ、もえの。・・・ 、さっしーのこと好きなんじゃないの?」
真っ直ぐあたしを見るその瞳に、少しだけ引き下がってしまう。なんでかな。その瞳がとても哀しそうに潤んでいたからかな?なんでかな。
"好きって言ったらどうする?"
瞳と瞳を合わせずに俯きながら、声を出す。ちょっとだけ顔を上げればりっちゃんはもっと瞳を潤ませていた。
だからあたしは、冗談って言って笑って見せる。ね、冗談だよ。って。
だけどやっぱり瞳は潤んだままで。
"結局、さっしーに好きな人がいるかなんて分からなかった。"
"結局、りっちゃんの瞳は潤んだままで渇くことはなかった。"
"そして。結局、あたしは、指原のことが、
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