デートといえば動物園

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  「え?そんな、嘘……?」 細かった目を突然見開き、優は明らかに動揺した声で再び呟いた。 「何?どしたの?」 ふと優の視線を追いかけようと後ろを向いた瞬間、俺の予想だにしない人物が目の前に飛び込んできた。 「あれ~!?心くんに坂井くんだ~!こんなところで会うなんて奇遇だね!」 夏の日差しに負けるどころか何倍にもして跳ね返す驚異の陽気美少女、掛布蘭がそこにいた。 夏の暑さのためか、若干紅潮した笑顔がまた素晴らしい。 「フランちゃん、ホント奇遇だね。どっか行くとこ?」 咄嗟のことに口をパクパクさせている純情イケメンを背に、動揺を隠して挨拶する。 「うん。追試も終わったし、ふら~っとお買い物にでも行こうかと思って」 「え、追試あったんだ?」 「そうなの。実は私、勉強はてんでダメな子なんです」 しゅんとして恥ずかしそうに呟く声ですら、どこか元気というか潔さが滲み出ている。 「そうなんだ?てことは今までもずっと補習受けてたの?」 うちの高校では期末で赤点を取った者は教科ごとに何回かの補習を受け、七月末の追試に受からなければ単位を落とすことになるらしい。 高校になってからはガリ勉のお陰で成績に困ってはいなかったからあまり気にしなかったが。 まさかあのフランちゃんが追試とは意外だ。 「そうだよ~。補習自体は五回だけなんだけど、追試受かるまで学園祭の準備にも参加できないなんて酷いよね~」 夏休みが明けるとすぐに学園祭があるのだが、フランちゃん達のクラスはもう準備してるのか。 うちのクラスは八月になるまで活動予定はないってのに。 「あれ、そういや優も同じクラスだろ?お前学園祭の準備なんてしてたの?」 「へ?あ、えっと……ごめん、全部サボってた」 顔赤いなおい。 道理で、折角同じクラスなのに三回しか話せないわけだ。
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