ミルクティは恋の味

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彼のことを知ったのは、高校一年の秋頃。 シチュエーションは、昼休み後半の自販機前。 昼食を食べ終えると、購買の自販機で口直しの飲み物を買うのが、高校生になってからの私の習慣だった。 いつものカフェオレは自販機の最上段。この学校の自販機は上の段のボタンがやたら高い位置にあることで女子生徒からは不評だけど、男子並みの身長を持つ私にはあまり関係がなかったりする。 私はそんな身体的特徴にコンプレックスなんて抱いてないし、寧ろ得してるなと思うことばかりだけど、稀に損をすることも無きにしもあらず。 「うわ、出たよフランケン」 「高いとこも楽々だね~。流石フランケン」 ガコン。 カフェオレが取り出し口まで落ちてくる音に紛れて、耳に心地悪い陰口が聴こえてしまった。 陰口なら、聴こえないように言えばいいのに。質が悪い。 私の一部の女子からの評判が悪いのは自覚していたし、女子の嫌がらせの質の悪さも重々承知してるつもり。 だけど、やっぱりどうしても慣れることはできない。 みんなが私の為につけてくれた愛称は結構気に入っていたし、それを馬鹿にされているようで気分が悪い。 自然と、拳を握っている自分に気が付いた。 「ねぇ、買ったんなら早く退いてくれない?」 「そこにいたら私達次買えないんですけど~。あんた体大きいし」 その大きな体を生かして、この二人をぶっとばすのは簡単だ。
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