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「え~、ダメだよ坂井くん。そういうのはちゃんと参加しないと。クラスの女の子にモテなくなっちゃうよ?」
うん、こいつに限ってはそんなことくらいでそれはないだろうけど。
「う、うん。じゃあ次からは参加するよ」
なるほど。次からはフランちゃんも参加するもんな。
「よし、それで宜しい。ところでさ、坂井くんと心くんって仲良かったんだね?二人とも中等部だったっけ?」
「うん、そうだけど、仲良くなったのは最近かな。な?」
「そ、そう。心、勉強できるから宿題手伝ってもらって、それから」
「え、いいな~!私にも宿題写させてよ、ね?」
この人は、動作の一つ一つがいちいち可愛いのな。
細い腕、長い脚。
身長は俺と同じくらいだけど、それがマイナスどころかプラスにしかならない程の抜群のスタイルも兼ね備えている。
ここで、積極性の出番か?
「もちろん。もう全部終わってるから、今度学校行く時にでも渡すよ」
ここで俺は、致命的なミスに気が付いた。
いや、違う。わかってた筈なんだ。
優はフランちゃんのことが好きで、親しくなるチャンスを窺ってるって、知ってた筈なのに。
優だって宿題は終わってるんだから、同じクラスの優のを見せてあげるように言えばいいのに。
なんで俺は今、こんなことを言ったんだ?
「え、ホント!?助かるよ~。ありがとう、心くん」
おかしい。俺はおかしい。
この場面なら普通、隣のイケメンからの嫉妬光線で胸を痛めなきゃいけないところだろ。
なのに、どうして俺は。
「それで、二人はこれからどこに行く予定だったの?」
「動物園だよ。優が、ホワイトタイガーが見たいって言い出してさ」
「え、ホワイトタイガーなんているの?いいないいな!私も行きたいな」
「じゃあ、もし良ければ、フランちゃんも一緒にどう?」
「え、いいの?邪魔じゃない?」
「寧ろ大歓迎。男二人じゃ哀しすぎると思ってたんだ。フランちゃんが来てくれるなら楽しくなりそうだし」
「そ、そう?心くんがそう言ってくれるなら、是非ご一緒させていただきますっ」
フランちゃんと話す時、どうして俺は、こんなにも心躍るんだろうか。
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