デートといえば動物園

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         ───── 赤い空。淡い雲。 動物園日和の終わりを告げる空色の変化をぼんやり眺めていると、優がカメラを取り出し電源を入れる姿が視界の端に映った。 時は閉園時間間際。 夏休みの日曜日ともあって盛況だった動物園の出口付近は、多くの家族連れやカップルで昼間とはまた違った雰囲気の賑わいを見せていた。 そんな賑わいの中、退園前に用を足しておこうと考える人は多いらしく、俺達も同じように考えたわけで、必然的にご婦人専用お花畑は待ち時間を設けられ、さっさと用を済ませた俺と優はのんびりと出口付近でフランちゃんを待っている次第である。 「ねぇ、心」 言いながら、優はデジカメの再生ボタンを押し、今日撮った写真を時間順に表示し始めた。 「んー?何だべさ?」 まず最初に撮ったのが、動物園の入場ゲートに向かってウキウキ気分で歩くフランちゃん。 「今日は楽しかった?」 その日一日を振り返るように、優は次々と画像データを再生していった。 「うーん、それなりに」 ホワイトタイガーを見つけてはしゃぐフランちゃん。 ホワイトタイガーの前でピースするフランちゃん。 無理矢理俺を引っ張って一緒に写るフランちゃん。 「例えるならどれくらい?」 ペンギンを見つめるフランちゃん。 「うーん、中二の自然教室と中三の修学旅行を足して五で割ったくらいかな?」 キリンを見上げるフランちゃん。 「またてきとーだね。割り過ぎじゃない?」 ゾウに手を振るフランちゃん。 「いやいや、どっちも二泊三日だったから、五で割っても一日分以上の楽しさは残るって」 美味しそうにアイスクリームを食べるフランちゃん。 「なるほど。つまり楽しかったんだ?」 触れ合い広場でヤギに襲われる俺を見て大爆笑のフランちゃん。 「うん」 最後に通りすがりのカップルに頼んで撮ってもらった、ホワイトタイガーの前でピースする俺達三人。
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