優等生の劣等感

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青い空、白い雲。 絶好の球技大会日和である今日この頃。 俺達二年五組男子バスケチームは、体育館の隅で試合の順番待ちをしながら、運動場で行われている女子バレーボールの試合を遠巻きに眺めていた。 「おぉ!来ました来ました!我らが苗代学園四天王の一人、フランちゃんご登場~」 苗代学園。それが俺達の通う学校の名前。 中高一貫教育であるため、半数以上の生徒は中学から顔馴染みだったりする。 因みに読みは「なわしろ」。 「フランちゃ~ん!頑張れ~!」 苗代学園には、この掛布蘭(通称フランちゃん)を含めた四人のアイドル的存在の女子生徒がいて、苗代四天王と呼ばれ男子生徒から崇拝されている。 まぁつまり、四人共ズバ抜けて魅力的な容姿や個性を持ち合わせているってわけだ。 「いやぁ、やっぱキャラ的にはフランちゃんが一番だよな。背はやたら高いけど、なんかぽわぽわしてるっていうかふわふわしてるっていうか。愛想もめちゃくちゃいいし。お、こっちにも手振ってくれた!」 隣に座る高橋の講評を聴きながら、俺は周りに愛嬌を振り撒く美少女に言い知れない高揚感を覚えていた。 それが、学園のアイドルって存在なんだろう。 「なぁ。男がモテるためには、一体どうすればいいんだろうか?」 真顔で問い掛ける俺に、同志達は真顔で答えた。 「そりゃ、運動ができて」 「頭良くて」 「イケメンで」 「金持ち」 クソ、全くあてにならない。
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