第一章)入学式

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声をかけるかどうか迷った。でも、俯いてスカートを握りしめながら、必死に何かを堪えてるのを見たらほっとけななかった。 「奈々?」 俺が声をかけると一瞬ビクッとなってこっちを見た奈々。 呼んだはいいけど、何を言えばいいか分からなくて、そんな自分に嫌気がさす。 「どうしたの?」 無理矢理笑顔を作った奈々が何も言わない俺に逆に聞いてきた。 「いや、なんか辛そうな顔してたから大丈夫かな?って思ってさ。」 こんなことしか言えない自分って本当にダメだなと思う。 結局、奈々は 「大丈夫。」 と再び笑顔を作って答え、前を向いてしまった。 .
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