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しかし、それは魔物とはかけ離れた、むしろ妖精のような美しい少女であった。
腰まで真っ直ぐ綺麗にのびた、艶やかな銀色の髪。
まるで透き通るような白い肌。
美しい湾曲を描く腰のくびれ。
切れ長の目に端正な顔立ち。
宝石のように深く澄んだ緋色の瞳。
それに加えて、まるで猫のような毛の生えた耳が、銀色の髪の間から僅かにのぞいている。
身長はライトの胸くらいまでしかない。
森に差し込む木漏れ日の中、その少女は一糸纏わぬ姿で、色鮮やかな鳥達とともに水浴びをしていた。
ライトはすっかり目を奪われ、完全に我を失っていた。
まだ岩に隠れているマールが何事かとつついても、全く意識が戻らない。
しかたなくマールは岩にそっと手をかけ、ゆっくり顔を出す。
「え?」
マールは思わず出てしまった自分の声に驚いて、慌てて両手で口をふさいだ。
しかし、時は既に遅し。
鳥達は飛び立ち、少女は両手で体を隠してキッとこちらを睨んだ。
マールの声に我に返ったライトは慌てた。
「バ……バカ!! 逃げろ!!」
ライトとマールは慌てて逃げ出した。
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