第一章 魔物の森

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しかし、それは魔物とはかけ離れた、むしろ妖精のような美しい少女であった。 腰まで真っ直ぐ綺麗にのびた、艶やかな銀色の髪。 まるで透き通るような白い肌。 美しい湾曲を描く腰のくびれ。 切れ長の目に端正な顔立ち。 宝石のように深く澄んだ緋色の瞳。 それに加えて、まるで猫のような毛の生えた耳が、銀色の髪の間から僅かにのぞいている。 身長はライトの胸くらいまでしかない。 森に差し込む木漏れ日の中、その少女は一糸纏わぬ姿で、色鮮やかな鳥達とともに水浴びをしていた。 ライトはすっかり目を奪われ、完全に我を失っていた。 まだ岩に隠れているマールが何事かとつついても、全く意識が戻らない。 しかたなくマールは岩にそっと手をかけ、ゆっくり顔を出す。 「え?」 マールは思わず出てしまった自分の声に驚いて、慌てて両手で口をふさいだ。 しかし、時は既に遅し。 鳥達は飛び立ち、少女は両手で体を隠してキッとこちらを睨んだ。 マールの声に我に返ったライトは慌てた。 「バ……バカ!! 逃げろ!!」 ライトとマールは慌てて逃げ出した。
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