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長くの間、三国の力の拮抗により小競り合い程度の戦しかなく、平和だったこの島は、今また戦国の世へと大きく動き出そうとしていた。
首都グラインを有するデライトファリア。
この斜めに長い島の南西側に位置し、国の半分近くを砂漠が占め、砂漠を越えた先に、自治都市デザートイーグルの自治を認めている。
デザートイーグルは砂漠の民が開拓し、今では唯一、南の島国との交易が行われている。
先王はこの自治領を良しとせず、一度は自治権を剥奪されたのだが、現王が王の座に就くとすぐに自治権が返還された。
現王は『黒の王』と呼ばれ、戦があれば必ず先頭に立って剣を振るい、優れた政治の手腕を惜しみなく発揮する事から民からの信頼が厚い。
島の北東に位置するのが『猿王<エンオウ>』の治めるニールスであり、首都はエツである。
猿王とはもちろん正式な名ではなく、見た目が猿に似ているらしい事と、ズル賢く姑息である事からそう呼ばれるようになった。
しかし猿王本人はその呼び名を嫌うどころか、自らそう名乗るようになったのである。
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