Romance of the Three Kingdoms

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『猩々王<ショウジョウオウ>』の治めるバークナールの首都はキョウカであり、この島の南東に位置する。 猩々王に関して知る者は皆無に等しく、千年もの間ひとりで国を治めているとの噂もあり、故に千年王国と呼ばれる事もある。 なぜなら、遥か昔からバークナールの王は猩々王を名乗っていたからである。 先王の名を継ぐ事自体は珍しくもないが、通常は世代交代があれば盛大なカーニバルが開かれ、他国にもその旨が伝えられる。 しかし、バークナールにおいて、ここ二百年以上世代交代があった事が伝えられた事はなかった。 黒の王治めるデライトファリアや、猿王のニールスはいくつもの国が集まって出来た国なのに対し、バークナールは遥か昔から今の大きさだったと伝えられている。 このバークナールとニールスの北部には雪が積もり、冬季にはなかなか立ち入れない為、領土内とはいえ、ほぼ放置に近い状態である。 デライトファリアとニールスが今の大きさになってからは、小競り合い程度の戦は度々あるものの、国の大きさを変える程の戦は起こっていない。 そして、デライトファリアの王の地位に黒の王が就いた年、ニールスの猿王から不戦協定の申し入れがあり、黒の王はそれを承諾していた。 それにより、表面上とは言え平穏な日々が続いていたのである。
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