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ライトとマールは久々に賑やかになった村を楽しんでいた。
「おー!! すげぇー!! もっとやれー!!」
葡萄酒を片手にほろ酔い気分のライトは、旅の大道芸のパフォーマンスに子供達と一緒になって大きな声援を贈る。
全くの下戸であるマールもアルコールこそ入っていないが、テンションは高い。
かと言って、ライトも酒が強いと言うほどではない。
この国では十六才になると大人として認められ、アルコールの摂取が許される。
もっとも、こんな小さな村で飲酒を取り締まる法など無いに等しく、みな若い頃から飲んでいるのだが。
一通り大道芸のパフォーマンスを見終わると、ライトとマールは人波を掻き分け、その輪から抜け出した。
ライトは屋台に行くと、空になった葡萄酒のグラスにまた酒を注いでもらう。
「あんまり飲み過ぎないでよ?去年みたいになっても知らないからね」
マールが心配して声をかける。
「だいじょ~ぶ!!」
既に顔は紅く足取りも怪しいライトは、マールの背中を力の加減も無くバンバンと叩いた。
「痛っ!! もぅ~」
マールは眉毛を八の字にして笑った。
去年の誕生祭でライトは飲み過ぎ、いくらも祭を楽しまないうちに潰れてしまったのである。
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