16049人が本棚に入れています
本棚に追加
その切っ先が月の明かりをゆらゆらと反射する。
「くたばりやがれ!」
堪えきれなくなった相手の一人が、まるで反射された月の明かりに誘われるように飛び掛かった。
キン──
金属音が上がったのと、ほぼ同時に飛び掛かった男の剣と首が宙に飛んでいた。
首の無くなった男は、つんのめるようにして森の中を転がる。
「く……てめぇ……俺の部下を何人も殺しやがって」
細身の男の瞳に、狂気にも似た暗い炎が燃え上がった。
しかし、それは言いがかりという物である。
そもそも男達が少年と少年の仲間に襲いかかっていなければ、戦いにはならず、部下達も死なずにすんだのだ。
しかし、少年の抵抗もここまでであるらしかった。
バラバラに飛び掛かって来る様子は無く、木を背にした少年の周りを囲み始めたのである。
もうただの一歩すら動けない少年には、相手から来てもらうしかない。
だが、一斉にかかって来られては手の打ちようなどあろうはずもなかった。
少年のボヤけた視界が、男達の背後に増援と思われる人影が走り近づいて来る様子を捉えた。
極度の疲労と絶望が、少年の意識を断ち切る。
少年はガクリと膝を着き、そのまま大地へと倒れ込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!