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が、以前踊り場で目撃した光景を思い出すとしだいに心には虚無が広がった。
(そんな先生やったなんて…)
悲しかった。
そして一瞬でも惚れてしまった自分が馬鹿馬鹿しく思えた。
(…ふっ……アホやな…俺の事が好きなわけないやん……何考えてんねん…)
俺は犯罪でも犯したかのような後ろめたさと
思いがけない、教師という年上の異性に《利用》されたことにすっかり墜ちてしまった。
その時だ。
「あっ!危ない!」
腕を思い切り引っ張られ俺はしりもちをついた。
「っ…いってぇ…」
「あの、ごめんなさい…大丈夫ですか?」
見上げると谷口絵里が立っていた。
どうやら、俺は赤信号を渡ろうとしていたようだ。
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